BLAN.CO

2022/03/25 08:00

あの人の余白、ときどきコーヒー



毎日の暮らしのなかに「余白」はありますか?そこには自然とその人らしさが表れるもの。うまく取り入れながら心地よく過ごしているあの人と余白のはなしをしてきました。


今回は「旅するおむすび屋」として全国各地で食の大切さ・楽しさを伝える活動をされている菅本香菜さんにお話を伺いました。

東京に拠点を持っているものの、1ヶ月の2/3は全国を飛び回る生活。一見多忙そうな印象を受けますが、香菜さんはどんな環境にでも「余白」を持ち歩いているそうです。香菜さんが「余白」を大切にする理由、また余白のつくり方について掘り下げます。


ーいきなり大きな質問ですみません。香菜さんにとって「余白」ってなんですか?

未知に出会うための時間ですね。


「余白」がないと結局は新しいものを入れられないな、という感覚があります。例えば地方へ行ったときも、本当はもっと予定を入れられるけど、あえて1 日1件しか取材を入れないこともあります。それは、詰め込みすぎない方がその場所でもっとゆっくり話ができるかもしれないし、たまたま出会った面白いことに時間を使えるかもしれないと思うからです。


ーこれまでそういった「余白」があったから出会えたものはありますか?

いっぱいあります。なにせいっぱい「余白」をつくっているから。(笑)


例えば北海道へ行ったとき、取材先の方に「ランチにあそこのパンとチーズを食べて行くといいよ」とお友達のお店を紹介してもらって、素敵なチーズ屋さんに出会うことができました。そのときのご縁で後日東京でイベントを開催するお話へ発展もしました。お米農家さんを取材したときには「うちでご飯食べていきなよ」と食事までご一緒させてもらえ、関係を深めることができました。


こういったご縁は、分刻みでスケジュールを組んでいたら「すみません、次があるので」とせっかくのお誘いを断らなければいけなくなる。私は新しいものに出会いたくて旅をしているはずだから、「余白」がないと自分の旅する目的が達成できないんです。




ー「余白」が生んだ素敵な体験ですね。そういった新しいものに出会うために大事にしていることはありますか?

自分が想定しうることだけで先に全部を埋めておかないことです。


新しいことに出会うタイミングというのは予定を組む時には絶対に想像ができないことだと思うんです。想像できうる体験しかできないのって、ちょっと寂しいなと感じます。なので面白いことのためにも時間を空けておくっていうのを意識しています。


地方へ行くときも”あえて前日入りする”、”日帰りで行けるかもしれないけれどあえて翌日まで日程を取っておく”などもう一泊する分の宿泊費を自分で負担することになるとしてもちゃんとその地域を味わいたいと思っているから、「このエリア良さそう!」と思ったら迷わず予約して、新しいものに出会うための時間を作っています。


ー気持ちの余裕は「余白」から生まれているんですね。

私は、自分の心が満たされると感じられる最低限の基準を持っていて、それに対して今ある余裕が「余白」に繋がると思います。というのも、時間でもお金でも、はたまた私の好きな食べることでも、何事も「過ぎる」のはよくないですが、自分と決めたルールの範囲内でなら好きなようにしていいと思うんです。


なので、自分がどうすれば満たされるのかを知っていれば、残りの「余白」は自由にしていいと決めています。


ー昔からそういった考えを持っていましたか?

旅が大きなきっかけです。


こうやって旅先で新しいことに出会うんだ、時間に余裕を持っているから新しく予定を入れられるんだ、と旅を重ねる中で学んだので、とにかく「余白」を持って旅をしたいと思うようになりました。取材も同じで、「これとこれだけ教えてください、1時間で!」といったように、コンパクトに済ませることはできます。でも今時、ネットで調べればだいたいのことは出てきますし、せっかくなら想定以上の何かを持ち帰りたいと思うんです。そっちの方が面白いと思いませんか?




ーその通りだと思います。

でもサラリーマン時代のときは、なかなか調整しきれないところもありました。食に興味があるのに、食べることにちゃんと向き合えない時間が多く、食べながら作業している時間が増えていたり、スーパーのお惣菜ばかり食べている。それはいけないことではないけれど、なんだか寂しくて「あ〜、今自分満たされているなあ」って感覚がなくなっていたんですよね。


そんな経験から、ご飯を作る時間をちゃんと取る、そこに対して思いを馳せることを大切にするようになりました。今では食後のコーヒーを飲む時間まで含めて空けるようにしています。それはちゃんと食べたいから、せかせかしたくないからです。


それこそコーヒーを淹れることも、今自分のために時間を使っているなって感覚を得られるツールだと思います。そうした時間が自分と向き合うきっかけになったりもしますよね。



ー満たされている感覚がわからないと悩む人もいると思いますが、そういった人へ何かヒントはありますか?

暮らしの中で何か一つでもいいからお気に入りを見つけるところから始めるのはどうでしょうか?


先ばっかり見なきゃいけない時間じゃなくて、今ここにある幸せに満たされる感覚を少しずつ取り戻せていけると本当に自分が大事にしたいことだったり、自分が使いたい時間が見えてくるのではないか思います。


私の場合、少し疲れを感じた時や頭の中が飽和状態になった時は、自分のためにお米を炊いておむすびにして、味噌汁も作ります。そのような自分が安心できる何かを作っておくといいのかもしれませんね。


朝と昼のコーヒーもそう、完全ルーティーンになっています。スーツケースにドリップパックのコーヒーをいつも淹れていて、旅先でも飲んでいます。コーヒーはスイッチの役割をしてくれているので、ゆっくり飲んで、自分を満たして、私はまた旅を続けようと思います。




〜・〜・〜・〜・〜


「余白」から生まれた素敵な出会いや発見が香菜さんの人生を豊かにしているようです。自分が満たされているときでないと「余白」はつくりにくいため、まずは私も自分の感情と向き合うことから始めてみようと思います。


そんな自分自身との対話のお供にBLAN.COはいかがですか?


Text & Photo by:まえだあやか

Director:あがた ゆり


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special thanks:

菅本香菜

旅するおむすび屋

おむすびを通して、食の楽しさや魅力をワークショップや講演などで全国の人に伝えている。現在、47都道府県のおむすびを取材し、おむすびを通じて食文化を紐解いていく書籍を制作中。また旅の様子等をまとめたドキュメンタリー映画の製作も決定している。


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